文字飴「縁」の製作

2010年の秋から年に2回、「縁」というデザインの飴を鉄道会社様からの依頼で製作しています。

地縁、血縁、会社とお客様のご縁、たまたま乗り合わせたお客様どおしのご縁。

「いろいろなご縁を大切にしたい」という地域に根差した会社らしい思いを、コミュニケーションツールとしての飴に託されての依頼です。

漢字一文字の飴をどのような考え方、工程で制作していくのか。今回はじっくり解説していきます。

製作のポイントは文字を若干太目に作りつつもつぶれないようにはっきり読めるというところです。


縁という文字をA4の用紙に設計図としてプリントし、まずはパーツ分けをしていきますがこれを「割」という作業名で呼んでいます。

enn_wari.jpgピンク、オレンジ、赤と三色の「縁」の飴を制作するのですが、設計図はピンクで作りました。今回は赤い飴を制作しましたので、実際の製造写真に合わせて「赤」と解説します。

少し細かくてわかりにくいかもしれませんが、2色のため白い部分を数字で、赤い部分をアルファベットで記載し、細かくパーツ分けをしています。

「縁」の文字を一つの四角の中に組み込むというイメージで分けていることがなんとなくわかるかと思います。

白い部分は記載してある物だけで19パーツ。縁の飴全体が組みあがった四角い飴を丸くするための蒲鉾状の大きな飴パーツが4つ必要になりますので、合計23パーツ必要となります。

赤い部分は交差する部分がないため、ほぼ画数通りのパーツ数となっており表記でいうとQまで、外周部分が1枚ぐるっと必要になるので合計で18パーツです。

白いパーツ  23パーツ
赤いパーツ  18パーツ     合計 41パーツが必要ということがわかります。

今回のオーダーは5000個ですので、飴としては一釜で炊きあげられる限界の25キロの仕込としました。

まいあめの主原料は 砂糖、水飴、酸味料、香料、着色料です。

製造日当日の工房内の室温は20℃、湿度は25%だったため、配合に関する調整は必要なく
砂糖25キロ、水飴10キロ、酸味料125グラム、香料50cc、着色料は赤102を5ccほどです。

通常ですとこのままスタートですが、5000個を割り込むリスクがあるため、以前制作した赤ベースでリンゴ味の飴の切れ端を3キロ赤に足すことにしました。

約50分ほどかけ150度まで炊き上げた飴を冷却盤に移し、80度~90度ほどに落ち着いたところでクエン酸、香料の順に投入し味と香りを全体になじませるように混ぜていきます。

この際、空気が飴に含まれないように注意して混ぜることが大切です。

全体に酸味料と香料がなじんだら、再度設計図をよく見て「白い飴」と「赤い飴」の割合を最終確認します。
今回は白い飴と赤い飴の割合は4:6にしました。

割合が決定しても計量して正確に分けるのではなく、時間との戦いになるためここからは計量が一切できないまま目分量でどんどん進行していきます。この感覚が組飴づくりの中で最も経験を要する部分でもあります。

ごく微量の赤102を添加しています。これを空気が含まれないように練ることでこの飴全体を赤にするのですが、組飴はカットした面を見せるため、飴の表面の色を見て色を決定することができません。

chakushoku.jpg

着色しつつカットした断面をチェックし色を確認すること。また温度によって発色に差が出るため80度の時点での発色から常温に戻った時の発色を予想して着色料の添加と練り具合を調整します。

白い飴の製作に取り掛かります。

まいあめ工房では白い着色料(二酸化チタン)を使用しないため、空気を飴に含ませ細かい気泡を飴内に多量にいれることで光を乱反射させ白く見せる技術を用います。

飴が柔らかすぎると気泡がすぐ潰れてしまい、きれいな白の発色とならないため、白い飴になるパーツは赤い飴よりも冷やして固めにしておきます。
そのため、約2.5キロほどの4つのパーツに分け冷やし、それを重ね合わせることで通常より硬めの飴にしたうえで空気を含ませる作業に入ります。

s-DSC00235.jpgs-DSC00238.jpg

通常機械にかけて40回ほど飴引き作業を行うところを、10キロと多いので50回引くことにしました。
堅く重いので取り扱いも大変です。





白い飴を制作している時間も、赤い飴のパーツ作りは進行していきます。

たくさんの赤い飴がパーツ分けされ、ある程度の硬さになるように冷まされています。

s-DSC00247.jpg出来上がった白い飴もスペーサーとしてどんどんパーツに切り分けられ成形されていきます。

今回のポイントは文字を太目に作ることですが、そうすることでバランスが崩れないよう「糸偏」を先に作り偏とつくりのサイズをきっちり合わせる必要もあります。

s-DSC00257.jpg



組みあがった飴は直径25センチ、重さ28キロほどになっていますが、最終的に2センチのサイズにするためここから「絞る」という作業を行います。

この部分は力と技術がいりますが、大変申し訳ないことにこの技術のむずかしさやポイントを表す言葉を持ち合わせておりませんので、ねじりながら引き伸ばしているのに中の飴は歪まないようにするという神業は、動画で確認ください。





こうして、直径2センチ長さ30センチぐらいにカットしたものを、シームレスカッターという機械で厚さ1センチのサイズにカットしていきます。

そして完成しました。飴の炊きあがりからここまで約30分です。

enn_kansei.jpg
太くしっかりとした文字で読みやすい出来にはなっていると思います。

反省点は飴の中心部が若干渦巻き状にねじれている点です。

これは28キロと一度に作る限界の飴の量で制作したため、熱量が思いのほかあり中心部分の温度が下がりきらず柔らかかったせいだと思われます。

しかしながら中心部を適性の温度まで下げると、外周部分の温度が下がりすぎ飴を絞ったりできなくなります。
このあたりの見極めは非常に微妙なところですが、これこそ職人の技術経験がものをいう世界です。

28キロの限界量で制作しているにもかかわらず、この程度のねじれで収まっているのは実はまいあめ工房の職人ならではの技術です。



一粒の飴に込められた思いを支える様々な技術と工夫を、これからもこのブログで紹介していきます。




オリジナルデザインの組み飴作りの日誌。まいあめ工房の組み飴デザイナーが、組み飴作りの舞台裏をつづります。

組み飴デザイナーって?

オリジナルデザインの組み飴を作る際、飴の絵柄(形や色の組み合わせ)には、組み飴で表現しやすいものとそうでないものとがあります。そのため、組み飴独特のデザイン技法が使われます。

まいあめ工房では、お客様からいただいたオリジナル飴の原画をより良く再現するために、専任の組み飴デザイナーがお客様のデザイン画を組み飴用にデザインし直し、ご提案しています。

過去の記事(月別)

  • 組み飴でどこまで再現できるか?
  • まいあめができるまで

まいあめの関連商品

  • 合格飴
  • 「ありがとう」飴
  • 「祝」飴
  • 「よろしく」飴
  • 寿・めでタイ飴入り「まいボックス」登場!
  • ハードキャンディーのオリジナル制作