2018年度お年賀飴 予約受付スタートです
2017年11月01日

初!工場見学&体験ツアーを開催しました。
2017年10月11日



まいあめ工房のオンラインショップついにOPEN!
2017年09月27日






若手職人2人が挑む!〜はじめてのハロウィン飴づくり〜
2017年09月04日
若手の職人がふたりいる。
もうひとりは、新卒からアパレル畑で生きてきた、27歳のおとこのこ。
今年高校を卒業してまいあめ工房に入社してきた、かこちゃんは、
飴に対する情熱がすごい。
中学生の時に彼女はいわゆる「職場体験」でまいあめ工房が製造を委託している組み飴屋さんにやってきた。その時、
「2Dの絵が、組み立てることで3Dになって、最後には2Dの絵になる」
ことに衝撃と感動を覚え、
将来は飴に関わる仕事に就きたい・・・!
と思い、その思いを高校3年生まで持ち続けたという、生粋の飴好きである。
たまたま、まいあめ工房が職人の求人を募集してる期間に、
求人募集のサイトや情報を全く知らずに
「見積問い合わせフォーム」から応募をしてきたツワモノでもある。
アパレル業界にどっぷりと浸かっていた大成(おおなり)くん。
ひょんなことから東京でまいあめ工房の専務と知り合う。
彼の実直で真面目な性格に触れていた専務が、ちょうど転職を考えていた彼に
「手先を動かすことが好きで一生の仕事に就きたいのなら、アパレル以外にも視野を広げてみては」と声をかけ、飴職人としてこれからの人生を生きて行くことを選んだのが、彼である。聞くところによると、決心をしたポイントは、
飴にコミュニケーションツールという付加価値を持たせているところが非常におもしろく、8年程アパレル業界にいたが、違う業界に飛び込むことで、
自分もずっと夢だった「作り手」にまわる
ことができる、というところ。
縁もゆかりもない名古屋という地に住み働くことは勇気もいるが、
もう一度アクセルを踏んで、勢いをつけて違う畑に飛び込んでみようと思った。
だそうである。

「次の世代にこの伝統技術を残す」ことを使命としています。
技術を残し伝統を守っていくためには、相応の対価を。それこそが伝統を守る一歩。と考えています。
もちろんこの2人は組み飴に関しては全くの素人。
ですが年月を経るごとに相応の対価を支払うことは、
組み飴職人という文化を未来に残すための、責務と言えます。
そのために、わたしたちがこの二人に抱く期待は計り知れず、
組み飴の次世代を担っていってほしい!
いや、担っていってくれるだろう!と信じてやまないのです。
そんな期待の新人二人に今回は飴のデザインを考えるところからスタートしてもらい、
製造までしっかりと「自分で考えたものを自らの手で形にし、販売される」
を経験してもらうことにしました。
デザイナーやその手の仕事の人でないと、なかなか味わえない体験です。
まず、ふたりに今回の企画の経緯を話します。

そろそろ慣れてきましたか?」
かこ:「はい」
大成:「はい」
専務:「ふたりに新しいチャレンジをしてもらいます。
自分たちでデザインを考え、どちらかのデザインを採用し、
今年のハロウィンキャンディとして販売しようと思います!」
かこ・大成:・・・・。

どんなデザインが作りにくいのか理解をし、
考えたデザインの通りに製造し実物として出来上がったものが販売される。
という流れを経験をしてもらうためです。まずはデザインするにあたり、
"自分で1から組み立てることができるか、自分に製造できるか"
を第一に考えてください」
かこ・大成:「はーい」
そして出来上がった初校がこちら。
ドーン

専務・藤井:「・・・・・ちょっとちょっとちょっと!!!
専務:「これ、作れる?パーツに分けれる?自分で作るのを想像しながらデザインした?
特にミイラの包帯の部分!包帯が重なったり交差する部分、絶対できないでしょ
ミイラはNGにして、別デザインをもっと修正してね。はい、やり直し。」
そして第2校。
ドーン
専務:「ふたりとも随分と改善されたよ〜。今回は1種類のみの製作となるので、
一番ハロウィンらしい、かこちゃんのかぼちゃを製作しましょう!」
その後すこしだけ修正を加えられ、
今年のハロウィンデザインは「かぼちゃ」に決まったのでした。

製造日当日、
初めての試みにドキドキとワクワクのふたり。

かこ:「かぼちゃの輪郭のへこむ部分が難しいと思います!がんばります!」
大成:「口の部分が左右上下対称のデザインでないので難しそうです!がんばります!」
ここでなるべく二人にやらせてあげようと思っていた大将から
「どうやってつくるのか、みんなに説明せんといかんでしょー」と指示が入ります。
すかさず考案者のかこちゃんが概要書を指差しまずは大将に説明しますが
かこ:「ほとんどさっきやったデザインと同じ感じで
というのも大将の優しさで、二人が少しでも感覚を掴めるようにと、
1つ前の釜で、今回のかぼちゃに似たデザインを作ってくださっていたのです。
とはいえ釜が変わればもちろんゼロからのスタート。
出来るだけ自分たちで、と任された二人には緊張が走ります。

炊き上がった150℃の飴を冷却版の上で冷やしつつ酸味料や香料を加えます。
これがもう熱くて熱くて・・・(本人談)
しかも20キロも重さがあるので、熱いし重いしかなりの重労働!
先輩やわたしたちの視線を一点に集め、ひたすら混ぜます!

デザイン設計書をチェックしながらひたすらに転がします。目が本気です。
まだ飴が温かいので、常に転がし続けないと自重で潰れていってしまうのです。
そして、、、、

(写真がぶれた!)
そして、
組みあがり電柱ほどの太さになった飴をぐいぐいひねって伸ばしていきます。
さあ、どうしたいんだ!大成くん!
これだ!と思う感覚を掴んだのでしょうか、どうなのでしょうか。

みなさんも見慣れたあの組み飴の状態になるようにカット。
ここではシームレスカッターという機械を使って飴に両側から刃を当てます。
両側から当てることによって切り口が滑らかになるため
まいあめを口にした皆様から「口当たりが滑らか!」と
お声がけいただくのはここに秘密があるのです。キリッ
さてさて、

カットされた後、かこちゃんが
「おおきく歪んだものはないか」「サイズがおかしいものはないか」
を瞬時に見極め、選別します。
どんどんカットされていくので、見極めにもスピードが重要です。
こうして出来上がったハロウィンキャンディ。
かこ:「いつもは設計書のとおりに作るだけだけど、今回は自分が考えたものを
自分でパーツも考えながら作ったので、ドキドキして新鮮だったし、
嬉しかったです。
デザインを頭の中でパーツ分けすることがまだまだできないので、
これからはどのように分けられていくのか考えられるようにしたいです!!」
大成:「初めてデザインをしてみて、どれだけシンプルなデザインにしたとしても、
飴をつくるときに難しいのかどうかを考えないとだめだと感じました。
パーツ分けするのも、まだまだ瞬時に想像できていないなと思いました。」
まだまだ二人には組み上げることはできないため、
大将の指示のもとパーツを作ることに徹したふたり。
今回の経験を経て新しい発見、足りない部分を見つけられたはず。
組み飴の技術を習得するために、
毎朝8時前から大将のもとで働いているかこちゃんと大成くん。
炊き上がった飴は熱くて重くて、思い通りになってくれず、
悔しい思いを何度もしているそうです。
しかし、飴が好きという思い、技術を繋ぎたいという思いで
毎日一生懸命飴と向き合っています。
今回ハロウィン用で型をオリジナル製作したかぼちゃロリポップとセットにし、
ハロウィンハッピーセットとして販売いたします!
まいあめ工房の「伝統技術を次の世代に繋ぐ」理念に共感してくださる方、
素直にこのふたりを応援したい!と思ってくださる方、
ぜひ二人の情熱が詰まりに詰まった飴をご賞味ください。
<若手職人チャレンジ企画第1弾>
ハロウィンキャンディー50個(オレンジ味)
ハロウィンオリジナルロリポップ2本(メロン味)
上記1セットで2,500円(送料・代引き手数料込)
【件名】ハロウィンキャンディ購入希望
本文に
【ご氏名】:
【お届け先郵便番号】:
【お届け先住所】:
【お届け先電話番号】:
【希望セット数】:
【もしよろしければ若手職人へ一言】:
を記載しご連絡くださいませ。
確認後、返信させていただき、順次発送の準備に入らせていただきます。
いただいた個人情報はすべて今回の発送時のみの使用とさせていただきます。
皆様のご応募お待ちしております!
そして、まいあめ工房はこれからも職人育成に力を入れ、
この技術、文化が続いていくよう尽力していきます。
次回の若手職人チャレンジ企画に、乞うご期待!
〜今回の製造風景を動画にまとめました。製造の様子をご覧になりたい方はこちら〜
ファッション界の重鎮へのプレゼントとしてまいあめが選ばれたはなし
2017年08月01日
4月末のあの日、
ちょっとしたお祝いで食事に出かけたわたしと専務。
そういえば去年の今頃もビームスジャパンがオープンして、
企画した商品が採用されて店頭に並べていただいて、、
お祭り気分でしたねえ。と振り返り、思い出話に華を咲かせていたわたしたち。
じゅうじゅうとお肉を焼きながらふと携帯に目をやると、
「キターーーーーーー」と社長からメッセージが。
なにごとかしら・・・
「どうしたんですか!」と聞くと
「これは間違い無いよ!」とわたしの質問をスルーしテンションアゲアゲな様子。
「さえちゃんいま届いたメールみてよ」と。
おそるおそるメールを更新してみると、
Would you be able to make candy with the design of this cartoon icon that is shown on this website: http://suzymenkesvogue.com/
と。海外からの初めての問い合わせが・・・初めての、、初めての。
しかもですよ。
わたしの目はhttp://~以降の文字を見逃しませんでした。
「suzymenkesvogue」と。
「suzymenkes」と。
スージーメンケスと読みます。
ご存知でない方のほうが多いかもしれません。
彼女はインターナショナルヘラルドトリビューン紙、つまり現在のインターナショナルニューヨークタイムズ紙で25年にも渡って世界中のコレクションを取材してこられた、ジャーナリスト、ファッション評論家です。
現在は雑誌VOGUEの国際エディターを務め、いまでも年間200ものコレクションに足を運び、VOGUEのウェブサイトでコラムを持つ、ファッション業界の方々からしてみれば、いわば生き字引のような存在だと認識しています。
(日本語でも見れますので、是非ご覧くださいね。https://www.vogue.co.jp/suzymenkes_jp)
洋服が好きで、いろいろな雑誌を読んだり、webでサーフィンしている中で、きっとどこかで認識していた彼女のこと。あの日、この「suzymenkes」という文字を目にした瞬間に、飛び上がるような、心の底から「これは大変なことになるぞ!」という得体の知れない、およそ言葉にできない想いが溢れ出たのでした。
そしてもちろん、お腹よりも胸がいっぱいで、以降お肉に箸をつけることはできませんでした。
飴の発注元はコンデナストインターナショナルという、VOGUE、GQ、WIREDなどの有名雑誌を編集から出版まで行う会社のイギリス支社で、話を進めていくと、どうやら飴はスージーさんへのサプライズプレゼントとして作りたいとのこと。
しかも、彼女に渡した後であればまいあめでも紹介してOKとの了承もいただいたため、とにかくわたしは興奮冷めやらぬまま、スージーさんについて、コンデナストインターナショナルについて、VOGUEについて、ファッション業界について、などなどひたすら調べまくったのでした。
そのなかで段々と浮き彫りになってきた
一流ブランドであるほど、細かな職人技に敬意を払っていること、
彼女がたびたび記事の中で話題にする手仕事や職人のこと、
飛躍させると、シャネルも力を入れている職人への敬意など、、、
これらの情報を読めば読むほど、まいあめ工房の精神にも通づるものがあるのではないか。
そんな気がしてきたのです。
恐れ多いのも承知の上で、今回はそんな、
"意図せぬところで通じ合う一流ブランドとまいあめ工房"
について考えてみました。
みなさんはSavoir Faire(サヴォアフェール)という言葉を知っていますか?
ファッション業界に身を置いていらっしゃる方なら一度は聞いたことのある言葉かと思うのですが、この言葉は、特にシャネルが定義するところによると
完成品の仕上がりだけでなく、
制作プロセスの中に特有の美が存在する
という意味を表しています。
加えてシャネルは、オートクチュールコレクションやリゾートコレクションの他にも、Metiers Dart(メティエダール:直訳:芸術的な手仕事)コレクションという独自のコレクションを持っており、シャネルはこのコレクションを
ものづくりの伝統を
最新で最高のモード表現で未来に繋げること
を意義と位置付けているとのこと。
偶然にもこの二つの言葉に出会い、意味を知ったわたしは
図々しいのは百も承知で、
これってまいあめも一緒だ。。。
と思いました。
まいあめ工房は「次の世代にこの伝統技術を残す」ことを使命として10年前にスタートしました。類稀なる技術を持つ職人へ支払われている対価の低さに疑問を呈した社長が、「このままでは職人になりたいと思う若者が現れるはずがない」と他企業よりも高い単価で製作を依頼し、職人とタッグを組んだのが始まりです。
組み飴はほとんど機械を使わず常に一発勝負で作られ、やり直しは効きません。
技術の進歩が進む中でも、毎日変わる気温、湿度、常に一発勝負のデザイン、垂らす一滴二滴で色合いが変わってしまう繊細な技は、大量生産、大量消費の世の中で、機械では到底真似することのできない、1つずつ職人の手で作られた特別なものです。
職人の長年の勘と経験が息づく緊迫した現場から生まれる飴は、まさに出来上がりのみが美しいのではなく、製作中の張り詰めた空気感、一瞬の判断の大切さなど、製造プロセスにも価値があると言えます。
こんな素晴らしい技術から生まれた飴を、当然安く仕入れていいはずがなく、大幅な値引交渉をしてくる企業に対し、我々は堂々と「安価の飴をご希望であれば、それはまいあめ工房の仕事ではありません」ときっぱりお伝えすることもあります。
安価はその場しのぎのものであって、将来の伝統継承に繋がらない、それがスタッフ一同の共通認識でもあります。
安いものばかりが持て囃される時代は過ぎたのではないか、と私は思っています。
(もちろん高ければいいとも思っていません。)
伝統的な職人技から生まれた製品を安価な商品にしない。
それは伝統を退廃させる要因のひとつです。
手作りのものは、もれなく高いです。
安いのであれば、それはどこかで誰かが涙を流しているからです。
海外に「VOTE WITH YOUR WALLET(直訳:財布をもって投票する)」という言葉があるように、わたしたちは賛同できる企業の商品を購入し、賛同できない企業の商品を購入することを控えることができます。
少しでも世の中の職人さん、思いのある企業さんが悲しい思いをしないように。
そんなことを常に頭にいれながら、わたしは消費者行動をしています。
シャネルがフェザーのアトリエ、帽子のアトリエ、刺繍のアトリエを守り、シャネルだけの工房ではなく他社にも開放させているように、伝統は職人だけで守りつづけるのではなく、支援できる人が守って、企業が守って、価値を再認識して次の世代につなげ、守っていく。それが職人でないわたしたちにできることだと思っています。
組み飴の技術に限ったことではなく、技術は使わないと廃れてしまいます。
使う人がいなければ無くなってしまいます。
実はこの精神、考え方を日本人は昔から持っているのでは、、
そう認識させられたのが、飛鳥時代から1300年続くと言われている伊勢神宮の式年遷宮です。伊勢神宮の式年遷宮とは20年に一度、社殿を隣の敷地へ丸ごと建て直すとともに内宮外宮すべての宝物も新調すると言われる、いわば神様のお引越しのようなものです。20年ごとに新築の状態の社殿に移し替えられてきたのですが、ご存知の方も多いように、実はこの1300年の間受け継がれてきたものは、常に新しい状態の「社殿」ではなく、社殿を作る「技術」です。
この技術の継承が絶えず行われてきたからこそ、わたしたちはいまでも1300年前と変わらない社殿を目にすることができるのです。
これは日本人がもの(物体)の永遠性を保とうとする考え方ではなく、伝統技術そのものを継承させようという考え方を古くから持っていたことを表していると思います。
海外では頑丈な建築物が主流で、建物自体を強く、壊れないようにするのに対し、日本では基本的に木造建築で、壊れたら補強し、修繕し、を続けて建物を守ってきました。
つまり、形のあるものを永遠に守り続けるより、諸行無常の中でも職人技さえ守り続ければ、ものを永遠に維持することができる。それこそが日本人が大切にしている伝統技術の継承だと思い知ったのです。
日本の伝統である組み飴に関わる一人の人間として、
スージーさんの飴を作る機会を与えられたことで、日本の職人事情、伝統の継承についてなどいままでより深く、そして真剣に考える機会をも与えられました。
先方の担当者が親切にわかりやすい英語で連絡をくれている中で、慣れない英語で、拙い英語で必死にインボイスや契約書を作り、進めてきた今回の案件。初めての海外企業との取引で、デザインを決め、送金を受け、飴が出来上がって手にした時の喜びをわたしは忘れることはないでしょう。
社内で通常の業務をしているとなかなか気づけない、「考えていた絵柄が飴となって目の前にやってくる」という、まいあめ工房の顧客の皆様がきっと感じてくださっているような喜びも、恥ずかしながら初めて得ることができました。
サプライズプレゼントのまいあめを彼女は大変気に入ってくださったようで、
今日もガラス瓶に入った状態で彼女のデスクに置いてあるそうです。
こんな経験を与えてくれた彼女に、もちろん機会をつくってくれたCONDE NAST INTERNATIONALのAdrianさんに、心から感謝します。
会社の使命も、わたしの使命も、やっぱりこの技術を、伝統を繋いでいくこと。
そのほかにありません。